おはようございます。
今日の一冊『品質がわかる ジュエリーの見方』をご紹介します。
約250種の宝石とそれに次ぐ天然石を解説。1000点を超えるカラー写真はすべて撮りおろし。宝石の魅力をダイレクトに伝える、宝石ガイドブックの一級本。刊行以来、増刷を重ねるロングセラーです
著者の諏訪恭一氏は1965年に日本人で初めて米国宝石学会(GIA)宝石鑑別士(G.G.)を取得した人。
宝石への知見が非常に高く、国内外のジュエリー関係者とのネットワークも強い、今の日本のジュエリー界を引っ張るおひとりと言えるでしょう。現在開催中の国立博物館「特別展 宝石」にも惜しみなく幅広く協力されたと聞きます。
この『品質がわかるジュエリーの見方』ではワタクシmiyanseも編集者の一員をツトメさせていただきました。
著者の約50年にわたるバイイング経験を通して、ご自分で見て、聞いて、肌感覚でつかんだ宝石の学識の広いこと深いこと。それでいて情報の精度に気を配り、少しでも曖昧さが出たところは放置せず「明日までに調べておくね」「〇〇先生に聞いてみるね」と徹底して追及されていました。
原稿の分りやすさとリズムを重視されるゆえ、原稿は「読んで推敲する」のが諏訪スタイル。机に向かい合わせで座り、読んだり聞いたりしながら指摘し合うという、本当に丁寧な本の作り方を体験させていただきました。
さて本の内容はというと――
「本書は宝石をモース硬度順に並べ、鉱物種ごとに整理した図鑑です。筆者みずからが手にした宝石と鉱物の写真を使い、宝石の処理の有無を明らかにし、産地と歴史、宝石名の由来なをまとめました。」(「はじめに」より)
おもな宝石は3段階の「品質・市場価値の目安」表付き。並列した3つの宝石写真から、色や透明度といった〈品質〉や、〈市場価値〉の違いが一目で分かります。
宝石の写真はほぼすべてフォトグラファーの中村淳さんの撮りおろし。これだけ美しく、美しいだけでなく宝石の特質を正しくとらえて写真に納めるフォトグラファーは日本で稀有ではないでしょうか。
別の撮影でお会いしたあるフォトグラファーさん、彼もそうとう素晴らしいジュエリー撮影をされますが、「淳さんの写真はもう、、本当にすごい」と呻っていました。
巻頭グラビア「誕生石の旅」は宝石の美しさが凝縮した12ページ。1月のガーネットから12月のトルコ石まで12個の宝石が「自分を見よ!」というド迫力で迫ります。
読み終えたあと、ミネラルフェアなど実地検分に行ってみたくなる一冊です。書を捨て街へ出ましょう!(時には)
(この本はcazarisuでお取り扱いしています)