ジュエリー歴史探偵29 明治後期に流行った指輪のデザイン

2020.05.09

指輪の流行通信

1899年(明治32)8月4日の新聞に指輪の流行について語った記事が出ていました。
セレブリティのファッションを見て流行を説くのは
現在と同じですね。

中流以上にこの新型大いに流行

流行の指輪
指輪の流行は昨年まで屡々(しばしば)變遷(へんせん)わりしが今春来は著しき變(かわ)りなく
宮内省の婦人女官其他(くないしょうのふじんにょかんそのた)三井岩崎両家等が好んで両面使用(りょうめんしよう)
又は認印兼用指輪(みとめいんけんようゆびわ)を使用せしため中流以上に此新形(このしんがた)大いに流行すれども
其他(そのた)には新規流行の形なしという金無垢物(きんむくもの)は追々(おいおい)衰微(すいび)すると共に
寶石入指輪(ほうせきいりゆびわ)の彫刻等には種々の新意匠も出来(でき)
寶石嵌入(ほうせきかんにゅう)部の金属を最も細くして成るべく寶石のみを指に附け居るが如く見せる様になり……
【1899年(明治32)8月4日 読売新聞】

爪は細く「寶石のみを指に附け居るが如く」

「指輪の流行は去年まではしょっちゅう変わっていたが、今年の春からはあまり変わりがない。
宮内省婦人女官(←宮中に仕える華族のことでしょうか)や
三井岩崎両家のセレブリティがインダイ指輪を着けていたので、
中流以上の人にはこのデザインが大流行する。
そのほか、金の指輪はだんだん流行らなくなって、宝石の指輪にはいろいろ新しいデザインが出てきた。
宝石の爪の部分の金属はできるだけ細くして、宝石だけを指に着けているように見せるようになり……」
といったところでしょうか。

爪留めの好み(目立たないほうが素敵)が現代と同じセンスですね。明治がグッと身近に感じられます。
次回につづきます。

(画像:Vehicles on the Streets of Tokyo (Tokyo orai kuruma zukushi)1870 Utagawa Yoshitora シカゴ美術館所蔵)