ジュエリー歴史探偵22 ティファニーパリ支店長、スポルヂング氏の来日(3)

2020.04.29

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ティファニー、一日の莫大なる売上げ

今回は3回目。ティファニー本社のビックぶりに触れています。
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ジュエリー歴史探偵20
ジュエリー歴史探偵21

その盛況見るべきなり

同氏又来る十七日京都に開會(かいかい)の五品大會(ごひんたいかい)にも列席して充分意見を吐露する筈なり
因(ちなみ)に記す此(この)ティファニー會社(かいしゃ)の主人たるティファニー氏は
四千萬弟(まんドル)の財産家にてスポルディング氏の管理せる巴里(パリイ)支店に於(お)ける取引一日に
九百萬圓(えん)に達せるをありしと云う其(その)盛況思ひ見るべきなり
而(しかが)してスポルヂング氏は従来(じゅうらい)萬國博覧會(ばんこくはくらんかい)の
開設ある毎(ごと)に選ばれて米國の委員となり各国の美術商中に有名なる人物にて……
【1894年(明治27)4月11日 読売新聞】

「アメリカで最も成功したジュエラー」チャールズ・ルイス・ティファニー

記事は「スポルヂング氏は京都で17日に開かれる五品大会にも出席して意見を言うだろう、
ちなみにティファニー社社長のティファニー氏は4000万ドルの財産家。
スポルヂング氏が支店長を務めるティファニーパリ支店は1日で900万円(現在の18億円)になるという。
その繁盛ぶりもすごいが、スポルヂング氏は万国博覧会があるごとにアメリカの委員に選ばれる、
世界の美術商の間では非常に有名な人物だ」
といったところでしょうか。

アメリカでは1853年(ニューヨーク)、1876年(フィラデルフィア)、1893年(シカゴ)と
すでに3回も万博が開かれていて、そしてスポルヂング氏はその有力者であるという。
ティファニー社社長というのは、ティファニー創業者のチャールズ・ルイス・ティファニーのことでしょう。
1837年にニューヨークで創業したティファニーは、この当時、
「アメリカでもっとも成功したジュエラー」といわれるまで確たる地位を築いています。
この記事、次回も続きます。

#Enjoy Japanese Jewelry
#STAY HOME

スポルヂング氏が尽力したシカゴ美術館のコレクションには歌麿の浮世絵も数多く所蔵されています。


(「Bon Festival Lanterns and Plant Seller, from the illustrated book “Picture Book: Flowers of the Four Seasons (Ehon shiki no hana),” vol. 2」1801年 北川歌麿 シカゴ美術館所蔵)


(「Takashima Ohisa」 1793年 北川歌麿 シカゴ美術館所蔵)

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