ジュエリー歴史探偵7 仏王室・王冠競売ニュース(後編)

2020.04.11

フランス王室の栄華を物語る、巨額の落札価格

パリの王冠競売ニュースの(後編)です。
前編はこちら

賣立所は巡査憲兵等にて夥(おびただし)く固めしにも拘(かかわ)らずスリ巾着切(きんちゃくきり)の類(たぐい)が
数名入込しを早くも察し警護の士卒を指揮するホノラー氏の計(はから)いにて一時に諸方の口を閉ぢ大(それ)より
胡乱(うろん)な奴原(やつばら)を片端から取押えたる後午後正二時より賣立に掛り第一番に出したるは
三百二十四個の寶玉を以って装飾したる髪飾(かみかざり)の留針にして此値(このあたい)四萬フラン(八千圓ほど)にて
アルフレッドヅートロンと云る者競落せり、第二は千三百四十一個の寶玉を以て飾りたる肩飾(かたかざり)二個
此値八萬四千フランにて同じくヅートロン氏之を得たり、第三は二百八十一個の寶玉を附したる留針数個
此値二萬五千百フランにて巴里(ぱりい)の寶玉商ポンナンジと云る者競落せり……
【1887年(明治20)7月6日 読売新聞】

すごい価格ながらお値打ち!?

会場は厳重に警備したけれどスリが入り込んで警備主任のホノラー氏が出入り口を閉じて怪しいやつらをかたっぱしから取押えた。
午後2時から競売スタート。
一番目は324個の宝石で飾った髪飾りの留針(←ヘアピンか?)を4万フラン(今の日本円で1億6千万ほど)でアルフレッドヅートロンさんが落札、2番目は1304個の宝石で飾った肩飾り二個(←ペアのクリップか?)で84000フラン(3億5千万ほど)もヅートロンさん落札、第3は281個の宝石が付いたブローチ数個25100フラン(1億7千万ほど)でパリの宝石商ポンナジさんが落札、といったところでしょうか。
「この後も高価で目がくらむものがかり出て競売は4時間ほどで終わって
この日の売上は50万5700フランになった。さらに数日続いたはずだ。
世間によればこの落札金額はとっても安いということだ」と記述は続きます。

落札したジュエリーの行く末は?

さて、オークションで落札したジュエリーはこの先どんな運命を辿ったのでしょう?
「このまま売れる」「買ってくれるお客さんがいる」というものもあったでしょうが
多くはバラされて、宝石だけにされて、地金の部分は溶かしてお金に換えられたはず。
フランス王室が保有していたほどのクオリティの宝石は滅多に採れるものではないので、
バラしたほうが売れるし、加工の仕様も広がります。
このとき落札された宝石が、今もどこかで誰かの愛おしいジュエリーの一部になっていることでしょう。

#Enjoy Japanese Jewelry

(画像:「開化十二ヶ月のうち 一月の祝宴」周延 筆 1885年刊行 国立国会図書館所蔵)

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