ジュエリー歴史探偵5 1887年仏開催・ジュエリーオークション

2020.04.09

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王冠が放出されたオークション

「海外事情」というコーナーで
フランスのジュエリーオークションの記事も掲載されています。
長いので2回に分けて。

王家に伝わりし冠はみんな不要

王冠の売立(うりたて)

仏蘭西(ふらんす)にては共和政府となりし後(のち)國王(こくおう)という者なければ
王家に傳(つたわ)りし冠は悉皆不要(しっかいふよう)となりしが此冠(このかんむり)は何れも高金(こうきん)のものなるに
空(むなし)く仕舞い置くは策の得たるものに非(あら)ずとの議論起(ぎろんおこ)り
終(つい)に昨年十二月十日大統領より発令して残らず賣拂(うりはら)う事になりしにつき
去る五月十三日巴里(ぱりい)のチユイルリイと云(いえ)る宮殿にて競賣(せりうり)とせしが
其日(そのひ)は競賣(せりうり)委員エスクリーブ氏を始めとし評価人鑑定人等数名立合の為現場へ出張し
賣立所(うりたてじょ)は巡査憲兵にて夥しく固めしにも拘らず……
【1887年(明治20)7月6日 読売新聞】

王冠をしまっておくのはもったいない

フランスは共和制になったので国王はいなくなった。
ロイヤルジュエリーで伝わる冠はすっかりいらなくなったが、冠はどれも高額だからしまっておくのももったいない、
何かしたらどうかと議論がおこり、大統領令によって残らず売り払うことになった。
5月13日にパリのチュイルリー宮殿でオークションを開くため委員や鑑定人が立ち会い、警備も厳重にしたが…………
さあ、この後どうなったでしょう。おそらくお察しの通りのことが起きます。

ロイヤルジュエリーは勝手には売っちゃダメ

ロイヤルジュエリーといえばイギリス王室が有名ですね。
エリザベス女王が儀式の折に着けるティアラなど
そうそうたるジュエリーは王室に代々伝わるロイヤルジュエリー、
これは勝手に個人の裁量で売っちゃいけません。国家の財産ですからね。

フランス王室はたいへんなジュエリーコレクションを持っていたと聞きます。
(ご存じ、『ベルサイユの薔薇』!)
そのジュエリーのオークションたるや、壮絶だったことでしょう。
ちなみに、マリーアントワネットが投獄前に最後の時を過ごしたチュイルリー(テュイルリー宮殿)はすでに焼け落ち
この時期は廃墟になっていたそうです。
フランス王室の栄光の地で、フランス王室の財宝が競売にかけられる……歴史は残酷です。
ではまた!

#Enjoy Japanese Jewelry

(画像:「招魂社境内フランス曲馬図 : Cirque Soulie」広重著、明治4年刊行、国立国会図書館所蔵)

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