ジュエリー歴史探偵2 1878年パリ万博・ジュエリーエリアレポート

2020.04.06

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金剛石あり孔雀石あり。パリ万博で事件勃発

今回はパリで1878年に開催された万国博覧会の模様のレポート記事です。
1855年、67年に続いて3回目のパリ万博。パリはだいたい干支が一回りするごとに
万博を開くという熱心ぶり。
万博が国の繁栄を世界にアピールする絶好の機会だったことがうかがえます。

夫人の耳飾り、ブローチ、指輪腕輪、胸飾り多し

佛國博覧會々場略報(仏国博覧会会場略報)昨日のつづき

三十九小区は珍金宝石の装飾品を集む金あり白金あり金剛石あり孔雀石あり
珊瑚あり瑪瑙あり真珠黒玉鋼鉄(しんじゅくろだまはがね)等
およそ珍貴の鉱石類一も有らざる無しまた右の貴石珍金に擬造(ぎぞう)したるもあり
真偽の程容易に見分難く皆其所用に応じて形容恰好彫刻(けいようかっこうちょうこく)の模様等を異にせり
慨するに貴金珍石の装飾品は重(お)もに夫人の耳飾鈕留針指輪腕輪(みみかざりぼたんとめはりうでわ)
或(あるい)は胸飾(むねかざり)等多きなり。
【1878年(明治11)10月12日 読売新聞】

イミテーションもあって見分けがつかない

39小区とは会場エリアのことでしょうかね。プラチナやダイヤ、マラカイト、サンゴ、めのう、しんじゅ、ジェット、鋼鉄など
珍しい鉱物ばかり。
イミテーションもあって見分けがつかない。姿や大きさかたちなどはみんなちがっているが
おおざっぱにいうと貴金珍石の装飾品は主に婦人のイヤリング、ボタン、ブローチ、指輪、腕輪や胸飾りなどが多い。
という感じでしょうか。

「ジュエリーは西洋のモノ、日本は歴史が浅い」
と時どき巷で言われるのを耳にします。ケレドモ、西洋であっても、ジュエリーが王族や貴族以外の人たちが
着けられるようになったのは、これより100年前くらいです(産業革命以降)。
日本人も、明治時代以降はガチで西洋のジュエリーとがっぷり四つに組んでいきますから
(これからご紹介していきます)
「民間人」が「楽しんで着ける」歴史は100年ほど遅れただけ、
しかも日本人には日本のなりのジュエリーを着けた豊かな江戸時代があったし、歴史は浅くない!
とわたしなどは思ってしまいます。

ではまた!
#Enjoy Japanese Jewelry


(「東京築地保弖留館繁栄之図」一曜斎国輝著、明治3年刊行 国立国会図書館所蔵)

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